多くのお子様に愛されている補聴器「フォナック スカイ」シリーズに2020年10月、マーベル世代の新型が発売されました。今回の大きな進化は、中継器なしでロジャーとつなげることができる「ロジャーダイレクト」が使用できるようになったことです。
ロジャーについて
ロジャーとは2013年にフォナックから発売されたワイヤレス補聴援助システムです。補聴器本体のマイク集音だけでは聴き取りの改善が難しい、話し手と聞き手の距離が離れる場面や、周囲が騒がしい場面で、話し手の声をワイヤレスマイクから無線で受信機に届けることで聴き取りを改善させるシステムで、学校や職場などで活用されており、スタンダードとなっている特許技術です。
スカイB以前でロジャーを使用する場合
スカイB以前でロジャーを使用する為には、補聴器本体の下部分に、受信機を取り付ける必要がありました。
スカイMなら
スカイMには補聴器本体に、ロジャー受信機の機能が内臓されているので、補聴器に受信機を別途取り付ける必要がありません。受信機との接続部分が濡れて故障したり、遊んでいる拍子に受信機が外れて紛失してしまうような心配がなくなり、消費電流の軽減・送受信距離の向上といったメリットもあります。
受信機代が不要になるということではない
フォナック公式では使用されていない表現ですが、当サイトでは、分かりやすいように「ライセンス」という表現で説明させていただいております。 |
「通常10万円前後もする受信機がスカイMに内臓されているということは、受信機代が不要!?」…と思われるかも知れませんが、残念ながらそうではありません。
スカイMには、ロジャー受信機の機能が、機械としては内蔵されていますが、初期状態では利用できないようになっています。ライセンスを移し込むことで利用できるようになります。その方法は下記の2つあります。
- ロジャーエックスから移行する
- ロジャーiN(アイエヌ)から移行する
ライセンスの移行は個人で行うことはできず、補聴器専門店などで行うことになります。
A.ロジャーエックスから移行する場合
お手持ちのロジャーエックスのライセンスをマーベルに移すことができます。移行すると、スカイMで受信機能が使えるようになる代わりに、ロジャーエックス自体からはライセンスが除かれるので、ロジャーエックス自体は使えなくなります。(この方法でスカイMに移したライセンスを再度ロジャーエックスに戻すことも可能です)
ロジャーエックス ロジャー X は、市場に出回っているほとんどすべての補聴器および人工内耳スピーチ プロセッサと互換性のあるミニチュアユニバーサルレシーバです。オーディオシューまたはストリーマーと接続すると機能します。ロジャー X は、ロジャー インストーラを介してロジャー受信機をインストールできます。 ロジャー X は、市場に出回っているほとんどすべての補聴器および人工内耳スピーチ プロセッサと互換性のある小さな ユニバーサル レシーバーです。オーディオ シューまたはストリーマと接続すると機能します。 メーカー希望小売価格 92,000円(税抜) |
B.ロジャーiNから移行する場合
送信機側である、「ロジャーセレクトiN」もしくは「ロジャーペンiN」(ここではまとめてロジャーiNと呼ばせていただきます)には、受信機2台分のライセンスが含まれています。このライセンスをスカイMに移行することができます。
ライセンスの種類によって、接続できるロジャーが異なります
ライセンスの移行方法は、以上の2種類ありますが、ライセンスの種類によって、接続できるロジャーが異なります。
従来のロジャーマイクロホン (タッチスクリーンマイク・テーブルマイク・パスアラウンドマイクをはじめ、「iN」ではない通常のロジャーセレクトやロジャーペン) |
ロジャーiNマイクロホン (ロジャーセレクトiN・ロジャーペンiN) |
|
ロジャーエックスなど、従来のロジャー受信機を従来通り接続した場合 | 接続できる | 接続できない |
ロジャーエックスからライセンスを移行したスカイM | 接続できる | 接続できない |
ロジャーiNからライセンスを移行したスカイM | 接続できない | 接続できる |
ロジャーエックスとロジャーiNの両方からライセンスを移行したスカイM | 接続できる | 接続できる |
使用環境により、様々なケースが考えられますが、「iN」ではない一般的なロジャー送信機とスカイMを接続したい場合は、ロジャーiNから移行したライセンスだけでは接続できないので注意が必要です。
反対に、ロジャー関係の機器をお持ちでなく、ロジャーiNとだけ接続できればいいという場合であれば、スカイMとロジャーiNだけの購入で別途受信機を購入する必要はないのでお得です。
価格について
通常、ロジャーを両耳で使用する為には、ロジャーエックスなど10万円前後する受信機×2台と、ロジャーペンなど10万円前後する送信機×1台が必要ですので、補聴器本体代+30万円前後必要となります。
今回発売されたスカイMはロジャーダイレクトに対応したマーベル世代となりましたので、補聴器本体代+10万円前後のロジャーiNのみでロジャーを使用できるようになります。
スカイM本体価格
フォナックこども価格 | メーカー希望価格(片耳) |
スカイM-SP-90 | 430,000円 |
スカイM-SP-70 | 310,000円 |
スカイM-SP-50 | 240,000円 |
スカイM-SP-30 | 160,000円 ※障害者総合支援法対応 |
使用可能距離について
最大 | 安定して接続できる距離 | |
ロジャーダイレクト (スカイMとロジャーペンiNなど) |
50m | 20m |
従来のロジャー (スカイBとロジャーエックスなど) |
25m | 10m |
タブレット授業への利便性
新型コロナウイルスの影響もあり、タブレットを利用した授業や学習が増えました。スカイMはBluetoothでタブレットに無線接続することができます。タブレットでの授業も、しっかり、スカイMで聴くことができます。
まとめ
マーベル世代のフォナック補聴器は、発売からわずか1年で全世界で200万台以上出荷された大ヒット補聴器です。多くのお子様を中心に愛されているスカイシリーズがマーベル世代になったことで、さらに多くのお子様に愛されることが期待されます。
ただ、一人ひとり、聴力や生活環境、聴こえの感じ方やニーズなどは千差万別で、当店でも複数の補聴器をお試しいただくことがありますが、必ず皆様同じものを好まれることはございません。
当店は、様々なメーカーの補聴器を取り扱うことで、より幅広い選択肢の中からお客様にピッタリな補聴器を選んでいただける体制を整えております。
ぜひ当店にてスカイMやロジャーをはじめ、さまざまな補聴器をお試しください。