新製品情報

2019年6月オーティコンからオープンS発売

オーティコンについて

オーティコンはデンマークの補聴器メーカー。ウィリアム・デマント・ホールディング(WDH)の傘下企業。WDHは世界シェア2位で、現在120か国以上で使用されています。

オープンについて

オーティコンの先進補聴器「オープン(Opn)」は、2016年の発売以降、世界累計販売台数で200万台を超え (2019年1月時点) 。世界中でヒットしました。発売から3年たった今でも、業界をリードしている補聴器です。今回、そのオープンに、後継器が登場しました。その名も「オープンS」、オープンSはオープンをベースとしているので、オープンの特徴も交えながらご紹介していきます。

360度の聴こえ

従来の補聴器は「指向性」という考え方が一般的でした。目の前にいる話し相手の声を聴き取ることを主眼とした考え方ですので、前方の音を大きくし、後方など周囲の音を抑えて耳に届ける仕組みでした。オープンの考え方はそうではなく、左右や後方も含め、様々な方向に聴きたい会話や音があるという発想です。高い処理能力で常に周囲の音を分析し、音によってバランスを取りながら耳に届けます。それが、「オープンサウンドナビゲーター」という機能です。この機能は「分析」「バランス調整」「余計な音を除去」という3つの処理を高速で行うことで実現されています。

分析

まずは「分析」です。オープンは、毎秒100回以上、周囲の音を常に分析しています。何かの音を検知したとき、「それがどのくらいの音の大きさなのか」「どの方向から発されている音なのか」「それが雑音(ノイズ)なのか」を分析します。

バランス調整

分析した音に対して、会話など大きく届けるべき音だと判断すれば大きく、雑音など小さく届けるべき音であれば小さくするなどして音のバランスを調整します。

余計な音を抑制

最後に、余計な雑音を高速で小さくします。言葉の間の雑音さえも抑えるほど高速に処理することで、騒音下での言葉の聴き取りを飛躍的に向上させます。

新しい充電式の登場

Zpower

従来のオープンにも充電タイプがございました。これは、アメリカのカリフォルニア州に本社と製造施設を持つZpower社「Zpower充電式システム」が採用されています。2017年前後、Zpowerはさまざまな補聴器メーカーで採用されました。(Zpowerは銀亜鉛充電池です)

オープンS専用充電器

オープンSではオーティコン独自の充電器が発売されました。デンマークのブランドらしい北欧風のデザインが採用されています。電池は先進リチウムイオン電池です。

充電式のメリットを紹介いたします。

  • 定期的に電池を購入しなくてよい
  • 定期的に電池を捨てる手間がない
  • 毎晩、電池を取り外して電源を切る必要がない
  • 電池の向きを誤ったり無理な力を加えて破損する心配が少ない
  • リチウムイオン電池式なので、短時間で充電でき、長時間使用することができる(3時間でフル充電でき、24時間使用可能)
    急いでいる場合は、30分の充電でも6時間程度使用可能。
  • フル充電しておけば、丸一日使用できるので一日の途中で電池が切れる心配がない(会話の途中で電池が切れたら困りますよね?)

すばやいハウリング抑制が聴き取りを更に改善する

ハウリングに悩んでいない方にも大きく関係する新機能です。

ハウリングと利得の関係について

ハウリングとは、補聴器からピーピーという音が鳴ってしまう現象ですが、大抵の補聴器にはハウリング抑制機能があるので 現状「ハウリングが発生してうるさい」とお困りの方は多くないかも知れません。しかし、一般的に、ハウリングを抑制するということは補聴器が、ハウリングが起きたことを検知して利得を下げているということなので、本来装用者にとって最適な利得で音を届けられていないということです。(利得とは、補聴器に入ってくる音をどのくらい増幅させるかのことです)

ハウリングのリスクが高い状況とは

周りに動くものの無い環境でじっとしている状況などではハウリングのリスクは高くありません。ハウリングのリスクが高い状況とは、耳の近くに何か物があったり動いたりして、音が跳ね返る環境です。
(たとえば、自身の腕や、携帯電話、帽子やソファ、壁、食べ物などが耳の近くにあるとハウリングしやすい)
一日の中でこういったハウリングリスクに晒される状況は多く存在します。

ループゲインについて

「①マイクに入った音」と
「②レシーバーから出て、またマイクに入ってしまった音」の
音量の差をループゲインと呼びます。

たとえば
①が10dB、②が6dBであれば、ループゲインは -4dB (「負のループゲイン」と呼ばれる)

①が10dB、②が13dBであれば、ループゲインは 3dB (「正のループゲイン」と呼ばれる)

正のループゲインとなった場合、
「さらにそれを増幅してレシーバーから出力、それをまたマイクが拾う…」 が繰り返されてしまうので、ハウリングのリスクが高い状態になってしまいます。

「オープンサウンドオプティマイザ」という新しい特許技術

今回「オープンサウンドオプティマイザ」という新機能が開発・搭載されました。要はハウリング抑制なのですが、一般的なハウリング抑制と異なります。これがオープンオープンSの一番の違いとなります。

「オプティマイザ」の動き

常にループゲインをモニタリング

毎秒56,000回もの高速処理でモニタリングし、ループゲインを算出。(つまり、ハウリングしそうになったらすぐ補聴器が気づくということです)

↓正のループゲインが発生したら

スペクトル時間変調を行う

28チャンネルに分けた周波数帯域の中で、ループゲインが正になったチャンネルに対して、16ミリ秒ブレーカー信号を発生、16ミリ秒ブレーカー信号を停止、再び16ミリ秒ブレーカー信号を発生…
という処理をループゲインが「負」になるまで数回繰り返す
(マイクに入った音がレシーバーから出力されるまでの遅延時間は16ミリ秒ということを利用しているそうです)

するとハウリングが止まる

たったの約60ミリ秒程度でハウリングを抑制できる。(一般的にはハウリングが止まるまでには1秒ほどかかる)

「オプティマイザ」で得られるメリット

一般的に、ハウリング抑制は、ハウリングが起きたら利得を抑えるという働きですので、その分聞こえも低下するということになります。 このオプティマイザという機能ではハウリングが小さいうちに利得を下げることなく一瞬でハウリングを終わらせるのでより多くの利得を耳に届けることができる。 つまり、装用者の感想としては、「ピーピーしなくなりました!」ということではなく(利得が下がらないので)「聴き取りやすくなった」や「音質が良くなった」ということになります。

騒がしい環境でも積極的に会話に参加できる

今回のオープンSでは従来のオープンと比較して、
「疲れやすさ」を10%軽減
「会話の覚えやすさ」を10%向上
「会話の理解」を15%向上したと実証されています。
(※Juul Jensen 2018, Oticon White Paper, Oticon Opn S1)

 

充電式と電池式のラインナップ

    電池 電池寿命(カタログ値)
ミニRITE 312
(PR41)
105~115時間

この製品の中で最も小型
ミニRITE T 312
(PR41)
105~115時間

小型でTコイル機能付き
ミニRITE R リチウムイオン充電式電池 フル充電で24時間
電池交換不要の充電式
耳かけ型プラスパワー   160時間
電池長持ち・
高出力タイプ

今回発売されたオープンSには電池交換式のRITEタイプが2種類、BTEタイプが1種類、RITEタイプの充電式が1種類の合計4種類がラインナップされています。RITEタイプはレシーバーを交換できる為、どちらも適応聴力は同じ (軽度難聴~高度難聴程度) です。高出力・電池長持ちの耳かけ型プラスパワーも用意されています。一般的に、メーカーが新シリーズを発売する際にはRITE(RIC)タイプのみの発売とされる場合が多いので、最初から耳かけ型プラスパワーが用意されているのは好印象です。耳あな型は今回は発売されていないので、耳あな型をお求めの方はしばらくお待ちいただく必要があります。ただ、RITE(RIC)という形状は非常に汎用性の高い形状ですので、もし装用された経験がないのであれば、一度試していただくと気に入られる場合もあるかと思います。

価格(オープン価格)

グレード 電池式 充電式
オープンS1(最も高性能) 50万円台 ←プラス3~5万円前後
オープンS2 40万円台 ←プラス 3~5万円前後
オープンS3(最もお手頃) 30万円台 ←プラス3~5万円前後

オープンSはオープン価格でメーカー希望小売価格が設定されていません。販売店によって値段が異なりますので目安として上記の通り紹介させていただきます。フラグシップモデルの最上位グレードが50万円台というのは他のメーカーでも同様ではありますが、高額ですのでしっかり試聴して納得された上で購入を判断されることをおすすめします。

まとめ

オーティコンから発売されたオープンS、いかがでしたでしょうか?
オープンからオープンSへの進化はキーワードを並べただけでは地味だったり、自分には無関係なことだと感じられてしまうかも知れません。しかしそれは、多くの方に関係する聴こえの進化であり、聴こえの改善に貪欲に取り組むメーカーの姿勢を感じます。

ただ、一人ひとり、聴力や生活環境、聴こえの感じ方やニーズなどは千差万別で、当店でも複数の補聴器をお試しいただくことがありますが、必ず皆様同じものを好まれることはございません。

当店は、複数のメーカーの補聴器を取り扱うことで、より幅広いご提案の中からお客様にピッタリな補聴器を選んでいただける体制を整えております。

ぜひ当店にてオープンSをはじめ、さまざまな補聴器をお試しいただけたらと思います。

 

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