2019年6月 フォナック待望の新シリーズ「マーベル」発売
フォナックとは
スイスに本社を持つソノヴァ・ホールディングの補聴器ブランド。ソノヴァグループは世界シェア1位と言われています。補聴器本体だけでなく、教師の声を無線で補聴器に届けるロジャーというシステムは教育現場などで使用されることが多く、幼児~大人まで幅広い要望に応えるラインナップが揃っているブランドです。
近年発売された過去シリーズ
発売時期 | シリーズ名 | 商品名 |
2011年 | スパイス | 「オーデオS90」など製品名に 「 S 」 がつきます |
2013年 | クエスト | 「オーデオQ90」など製品名に「 Q 」がつきます |
2015年 | ベンチャー | 「オーデオV90」など製品名に「 V 」がつきます |
2016年 | ビロング | 「オーデオB90」など製品名に「 B 」がつきます |
2019年 | マーベル | 「オーデオM90」など製品名に「 M 」がつきます |
現行の最新シリーズはマーベルですが、すべてのタイプ(形状)が発売されたのではございませんので、タイプ(形状)によっては、ビロングシリーズが最新となっています。
タイプ(形状)について
イメージ | 形状 | M(マーベル) | B(ビロング) | |
オーデオ | RIC | 2019年発売 | 2016年発売 | |
ボレロ | BTE | 2020年発売 | 2017年発売 | |
バート | 耳あな型 | 2020年発売 | 2018年発売 | |
ナイーダ | BTE/RIC(高出力) | – | 2018年発売 | |
スカイ | BTE/RIC(小児用) | – | 2018年発売 |
新シリーズの発売時に全ての形状が発売されるのではなくRICタイプであるオーデオのみが発売され、その後、数か月ずつ遅れて、少しずつ別の形状も刷新される流れが取られています。今回、新シリーズのM(マーベル)シリーズが発売されましたが、別の形状をお求めの場合は発売までお待ちいただく必要があります。(ただ、RICという形状は非常に汎用性の高い形状ですので、もし装用された経験がないのであれば、一度試していただくと気に入られる場合もあるかと思います。)
→2020年1月BTEタイプであるナイーダMが発売、2020年6月に耳あなタイプであるバートMが発売されました
マーベルの特徴
マーベルという名前の由来
外国人が何かを素晴らしいと評価したとき、「マーベラス!」と叫んでいる光景を見たことはありますか?マーベルはここから取られた名前で、「驚異的である」という意味から名付けられています。マーベルにはまさに驚異的なテクノロジーがつまっています。
補聴器まかせで、どこでも「いい音に設定!」
オートセンスOS3.0
グレード | 音環境 |
M30以上 | ストリーミングのことば |
M30以上 | ストリーミングの音楽 |
M30以上 | 静かな環境 |
M30以上 | 騒音下でのことば |
M50以上 | 騒音下での快適性 |
M70以上 | 音楽 |
M90以上 | 反響する環境での快適性 |
M90以上 | 非常に騒がしい中でのことば |
M90以上 | 車の中でのことば |
一般的に、補聴器にはメモリーといった名称の機能があります。それは、静かな環境や騒音下など、周囲の音環境によって音質を変えることにより、その場に応じた快適な聴こえを提供する機能です。マーベルに搭載されたオートセンスOS3.0では、周囲の音環境を0.4秒ごとに分析し、自動的に切り替えることができます。また、一般的な補聴器と比較して特徴的なのは、周囲の音環境を複数の解釈で同時に行い、ブレンドさせる動作をする点です。一般的な補聴器では、周囲の音環境を「これは騒音下だな」とか「これは音が反響する環境だな」と一つの解釈をして音質調整が働くことが多いのですが、オートセンス3.0では、「騒音下」かつ「反響する環境」といった形で、複数の解釈を同時に行い、それらを同時に計算して快適な音を届けます。
オートセンス自体は、2世代前のV(ベンチャー)シリーズから搭載された機能ですが、今回、バージョンが3.0に進化し、さらに精度が向上しています。また、ブルートゥースやワイヤレス機器を介してスマホやテレビなどから再生した音声までもが自動調整される点も、3.0での新機能です。
両耳間音声通信技術
マーベルでは、左右の補聴器が通信して常に音の情報を交換し合うことで、騒がしい環境での聴き取りをしやすくしたり、前方だけでなく、左右や後方から聴こえてくる音声を聴き取り易くする機能が搭載されています。
また、普段「電話だと通話相手の声が聴き取りにくい」と感じたことはありませんか?理由の一つに、電話は片耳でしか聴くことができないということがあります。マーベルに搭載された、「デュオフォン」という機能では、受話器を当てた側の補聴器で拾った音声を、もう一方の補聴器に無線で届けることで両耳で聴くことができます。
スウォード3.0チップ搭載
マーベルには「SWORD(スウォード)3.0」というチップが搭載されています。このチップでは、2.4GHzのワイヤレス通信・Bluetooth通信・左右の補聴器間での通信の全てを行うことができます。その結果、中継器無しでスマホの音楽やテレビの音声を無線で楽しんだり、携帯電話での通話を両耳で聴いたりといったことが可能となっています。(テレビの音声を無線で楽しむ場合、別売のテレビコネクターDが必要です)
スマホ連携が進化し、他メーカーよりリード
マーベルは中継器無しでスマホと連携することができます。先代の「オーデオBダイレクト」という製品では、通話相手の声を片耳でしか聴くことができませんでしたが、今回のマーベルは両耳で聴くことができます。また、一般的に補聴器とスマホの連携で通話を楽しむ場合、スマホ本体のマイクに向かって話す必要がありますが、マーベルでは、補聴器本体のマイクで自分の声を拾い、会話をすることができます。スマホを口に近づけることなく、真のハンズフリー通話が可能となっています。着信音も補聴器で鳴るので、着信に気付かないということも防ぐことができます。 (スマホ側で設定された着信音ではなくフォナック独自のメロディが鳴ります)
一般的に他メーカー製品でのスマホ連携は、iPhoneなら通話可能だがAndroidでは通話ができなかったり、スマホの器種がとても限定されていることがほとんどです。マーベルは、Androidでも中継器なしで直接接続して通話まで楽しめる現状数少ない補聴器です。
テレビの音声を無線で高音質で
テレビ離れが叫ばれる昨今ですが、テレビを全く観ない方はあまりいないと思います。マーベルを検討されている方には、ぜひ、「テレビコネクターD」という周辺機器も併せて検討されることをお勧めします。テレビコネクターDをテレビに接続すると、テレビの音声を無線で補聴器に届けることができるようになります。通常の空気伝導で聴くテレビの音声は距離が離れるにつれて必ず減衰しますが、無線であれば数メートル離れても全く減衰しません。ソファーに座っても、キッチンまで離れても、そのままの音質で聴くことができます。ぜひお試しください。
はじめての方でも音に慣れやすくなった
メーカーによって、音作りは異なりますが、フォナックは、高い音の利得が大きい傾向にありました。これは、言葉の聴き取りをより改善させる意味がありますので、必要な事でもあるのですが、反面、初めて補聴器を装用される方にとっては、高い音がうるさく我慢ができないと感じられてしまうケースもありました。今回のマーベルでは、装用者の経験度に合わせた調整ができるようになっており、初めての方でも慣れやすい音質から始めることができるようになりました。
音の方向感を感じやすくなった
先代のB(ビロング)シリーズは両耳に補聴器を装用していても、前方から声が聴こえているような感覚が強かったのですが、マーベルでは、右側からの声なのか、左側からの声なのかをより感じやすくなった印象があります。
充電式と電池式のラインナップ
電池 | 電池寿命(カタログ値) | ||
M-312 | 312 (PR41) |
50~75時間(※S,Pは50~70時間) この製品の中で最も小型 |
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M-312T | 312 (PR41) |
50~75時間(※S,Pは50~70時間) 小型でTコイル機能付き |
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M-13T | 13 (PR48) |
80~120時間(※S,Pは75~70時間) 電池寿命が長い |
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M-R | リチウムイオン充電式電池 | ~18時間(※8時間のワイヤレス通信時間を含む) 電池交換不要の充電式 |
今回発売されたオーデオMシリーズには電池交換式が3種類、充電式が1種類の合計4種類がラインナップされています。どのタイプもレシーバーを交換できる為、適応聴力は同じ (軽度難聴~高度難聴程度) です。Tコイルの必要性、好みのサイズに関しては人それぞれですが、電池寿命に注目すると下記の通り
発売時期 | 器種 | 電池寿命(カタログ値) |
2016年 | オーデオB(M-312) | 80~130時間(※UPは50~120時間) |
2019年 | オーデオM(M-312) | 50~75時間(※S,Pは50~70時間) |
先代のオーデオBと比較すると6割程度しか電池が持たなくなっています。これは、先に述べたような様々な新しい機能の追加によるもので、他メーカーでも同じように新製品が出る度に電池寿命が短くなる傾向にあります。聴こえの良さとのトレードオフと理解するしかない点です。
オーデオマーベル充電式のメリット
充電式のメリットを紹介いたします。
- 定期的に電池を購入しなくてよい
- 定期的に電池を捨てる手間がない
- 毎晩、電池を取り外して電源を切る必要がない
- 電池の向きを誤ったり無理な力を加えて破損する心配が少ない
- リチウムイオン電池式なので、短時間で充電でき、長時間使用することができる(3時間でフル充電でき、18時間使用可能)
- 急いでいる場合は、30分の充電でも5時間程度使用可能。
- フル充電しておけば、丸一日使用できるので一日の途中で電池が切れる心配がない(会話の途中で電池が切れたら困りますよね?)
充電式の方が初期投資は高いですが、メリットはとても多いので、充電式の人気はかなり高いです。
取り扱いやすさの進化
先代のB(ビロング)シリーズにも充電タイプがありますが、多少不便な点がありました。充電器から補聴器を取り出した後、ボタンを押すことでやっと電源が入る仕様だったので、毎回ボタンを押すことが、特にお年寄りの方など細かな作業が難しい方には、面倒に感じられる点でした。しかし、マーベルでは、充電器から補聴器を取り出すと、自動的に電源が入るように仕様が変更されました。(充電器に戻せば自動的に電源が切れます)毎日の手間が減り、よりオススメできる補聴器に進化していると言えます。
価格
グレード | 充電式 | 電池式 |
M90(最も高性能) | 55万円 | 53万円 |
M70 | 40万円 | 38万円 |
M50 | 29万円 | 27万円 |
M30(最もお手頃) | 20万円 | 18万円 |
オーデオMシリーズ(片耳)のメーカー希望価格は上記の通りです。
充電式の場合、別途12000円(税込)の専用充電器が必要となります。
補聴器自体が安価なものではないので「安い」言うことはできませんが、 一般的に、新シリーズでは高級グレードしか発売せず、後から安価モデルを追加していく場合が多いので、 新しくチップから開発している新シリーズで 最初から エントリーモデル(M30クラス)を投入しているのは良心的と言えます。
まとめ
フォナックブランドから発売されたM(マーベル)シリーズ、いかがでしたでしょうか?
冒頭でご紹介しました通り、ソノヴァグループは世界シェア一位で、あらゆる要望に応えられるメーカーです。無線機能が増強し、ロジャー連携機能などが追加され、新チップの開発でさらに聴こえが快適になり、今まで以上に一歩進んだメーカーになったと感じられます。
ただ、一人ひとり、聴力や生活環境、聴こえの感じ方やニーズなどは千差万別で、当店でも複数の補聴器をお試しいただくことがありますが、必ず皆様同じものを好まれることはございません。
当店は、複数のメーカーの補聴器を取り扱うことで、より幅広いご提案の中からお客様にピッタリな補聴器を選んでいただける体制を整えております。
ぜひ当店にてマーベルをはじめ、さまざまな補聴器をお試しいただけたらと思います。
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